【ポーカー⑤】強かったハンドが弱くなるケース 前編
「あれ、このハンド負けてるの?」
ショーダウンして勝っていると思ったのにチップが相手の所へ・・・
ポーカーを始めたばかりの頃、こんなケースが何回もありました。もしかしたら、これを読んでいる皆さんも同じような経験があるかもしれません。勘違いでチップを受け取ろうとして恥をかくだけならまだしも、勝っていると思ってチップを大量に失ってしまったら悲惨です。
残念な事態を防ぐために、初心者が勘違いしやすい場面を解説します。
1.2ペアが消える
① ハンド 7♥5♥ ボード A♣7♦5♦2♣
この時、75の2ペアが完成しています。相手がAのワンペアであれば、大量にチップを奪えそうな場面です。
リバーで落ちたカードは2♥
フラッシュボード(同じスートが3枚以上落ちたボード)にならなくて良かったと胸をなでおろします。そして、意気揚々と大きなベッドをした結果、コールしてくれた相手のハンドはA♦K♣。よっしゃ、ポット獲得!と思った瞬間、ポットは相手の所へ・・・
どうしてポットを取られたのでしょうか。状況を整理すると、自分の役は7♥7♦5♥5♦A♣の2ペア。対して、相手の役はA♦A♣2♥2♣K♣の2ペアです。同じ2ペアの場合、大きい方の数字を比較して判定します。その結果、7<Aとなり、相手の勝ちとなるのです。ボードにペアができた場合、上位の2ペアを見落としやすいので注意が必要です。
② ハンド A♥2♥ ボード A♣7♦5♦2♣
よし、2ペアが完成!!A7、A5の2ペア以外には勝っている嬉しい場面です。AKの相手が居たら最高ですね。
リバーで落ちたカードは5♥
フラッシュもストレートも完成しないボードで最高です。大きくベッドしてショーダウン。相手はA♦Q♣。特大ポットゲットだぜ!と思って手を伸ばした瞬間、チップは明後日の方向へ・・・
解説します。勘のいい方はお気づきかもしれませんが、リバーで5が落ちたことにより、2のペアが消えてしまったのです。そのためキッカー勝負になり相手に軍配が上がりました。
自分 A♥A♣5♥5♦7♦
相手 A♦A♣5♥5♦Q♣
キッカーQの差で相手の勝利です。ちなみに、自分のキッカーは2ではなく7になります。7がペアになったことで、ハンドの2♥は完全に仕事をしておりません。
また、7♦の所がK♦だった場合、引き分け(チョップ)になります。相手のQも仕事をサボっているからです。
自分 A♥A♣5♥5♦K♦
相手 A♥A♣5♥5♦K♦
②のボードで、仮にA7を持っていた場合、どうなるでしょうか?この場合、自分の役はAと7の2ペア(A♥A♣7♥7♦5♦)となり、AQの相手に勝つことができます。ボードの5のペアは消えている状態です。
ボードにAが落ち、A以外ペアができたときに注意が必要です。真ん中の2ペアは、A持ちの相手に負けてしまいます。逆に、自分がAを持っていてボードでペアができたときは強めの2ペアを持っていることになります。
2.フラッシュが弱くなるケース
① ハンド 7♥5♥ ボード Q♥4♥3♣2♥
スーテッドを持っていて、フロップかターンでフラッシュを完成させた場合、どんと構えてプレイすることができます。万一65を持たれていようが、フラッシュの方が強いのですから、ストレートを心配して委縮する必要もありません。
リバー 8♥
リバーにもハートが落ちました。俗にいう1枚フラッシュボードの完成です。自分はハートを2枚持っているから4枚目のハートが出たって関係ない、と思う人も少なからずいると思います。しかし、すでにフラッシュが完成しているから関係ないやと積極的にチップを賭けては痛い目に遭います。
相手のハンド A♥Q♣
この時、役判定は下記の通りとなります。
自分 Q♥8♥7♥5♥4♥
相手 A♥Q♥8♥4♥2♥
両者ともフラッシュが完成しており、高位のカードの差で相手に軍配が上がります。
この現象、1枚フラッシュボード(同じスートが4枚落ちたボード)の時に起きやすいのです。
なぜなら、ボードに♥が3枚しか出なかった場合、
1)2枚ともハートである
2)1枚は9♥より大きいカードである
両方のパターンを満たさないと勝つことができません。しかし、ボードに♥が4枚出た場合、2の条件だけで7♥5♥を上回ることができるのです。A♥の相方は何でも良いわけですから、♥3枚ボードと比べて負けている可能性は格段に上がります。
ここまでの理解度を確認するための問題を出します。次のうち、負けている可能性が高いのはどちらでしょう?
② ハンド K♥J♥ ボード 9♥7♥4♥3♣2♣
③ ハンド K♥J♣ ボード 9♥7♥4♥3♥3♣
正解は③です。
状況を整理すると、どちらもKハイフラッシュが完成しており、負けているのはAハイフラッシュのみという状況です。2番目に最強な状況をセカンドナッツと呼んだりします。
どちらもセカンドナッツが完成しているため、同じ強さに思えますが、2つの状況には明確な差が生じています。その差は負けているハンドの多さです。
②はA♥ともう1枚♥のカードを持たれていた場合負けています。
③はA♥を1枚持たれているだけでAハイフラッシュが完成し、Kハイフラッシュは負けてしまいます。ナッツフラッシュではない場合、1枚使い(ボード4枚)のフラッシュは2枚使い(ボード3枚)のフラッシュに比べて負けている可能性が高いのです。ただし、ナッツフラッシュを持っている場合は、自分が最強のフラッシュを持っているため1枚フラッシュでも2枚フラッシュでも関係ありません。
また、2枚フラッシュが強い理由はもう一つあります。それは、いくらスーテッドでも小さいカードで参加しないからです。例えば、4♥2♥で参加しようとは思わないでしょう。それは相手も同じです。②のシチュエーションで、相手がA♥を持って参加しようと思うハンドは何でしょうか?
プレイスタイルや状況にもよりますが、A♥2♥はプリフロで降りるはずです。A♥の相方はある程度強くないと参加できません。しかし、A♥K♥やA♥J♥の可能性は、自分が持っていることによって消えています。そのため、A♥の相方は、Q♥T♥8♥くらいしかないのです。
自分が持っているカードは相手は持っていない。当たり前に聞こえますが、この考え方はものすごい重要になります。これをブロッカーといい、上級者はこのブロッカーを使って相手のハンドを絞り込んでいきます。ブロッカーについては、機会があれば記事を書こうと思います。
3.まとめ
今回は1つの記事にまとめようと思ったのですが、詳しく解説したいという思いに加え、強いと思って実は弱くなっていたケースをいくつも思い出してしまったため、残りは後編で説明しようと思います。前の記事でも説明しましたが、どんなハンドに負けているかを想定することで、自分のハンドがどれくらい強いか考えることができます。1ペアだから弱い、フラッシュだから強いというのは的外れなのです。