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【広島カープ】上手に“負ける”広島カープのシーズン戦略とは?

 

 

 まず大前提として言っておきたいのは、勝ち負けのある勝負の世界であれば必ず勝ちを目指すべきです。

 これは、野球に限らずどのスポーツでも当てはまります。

 勝ちを目指すのは当然ですし、わざと負けて儲けようとする八百長は断じて許されません。

 しかし、プロ野球ペナントレースは143試合を通じて戦うリーグ戦です。

 リーグ優勝するためには、143試合終えた時点で勝率が一番高ければよいのです。

 

 2017年シーズン。2位阪神に10ゲーム差をつけて優勝した広島カープのシーズン成績は、88勝51敗4分です。(今考えてみると貯金37はえげつない数字ですね)

 他を寄せ付けない圧倒的な成績で優勝したカープですら、シーズンを通して51試合も負けているのです。

 1シーズンという長い視点に立って考えたとき、負け試合でのダメージを減らすことも大切になってきます。

 

 11日(日)の試合は、野村投手が5失点で4回持たずに降板。相手投手の今村を攻略できずに0-9の完封負けを食らってしまいました。

 この試合だけを切り取ってみると、投手陣は打ち込まれ野手陣は点数を取れなかった痛い敗戦に見えます。

 しかしシーズンを通してみると、ほとんどダメージのない1敗なのです。

 

 この試合は三連戦の最終日で、これまでの2戦は菅野、戸郷というエースと2番手ピッチャー相手に連勝しています。つまりジャイアンツとの三連戦で2勝1敗と貯金を作ることができたのです。

 さらに野村以降の投手リレーを見ると、中田ーコルニエルー藤井ーケムナとつないでおり、いわゆる勝ちパターンで使われる投手は一切出場していません。おそらく肩を作ることすらしなかったでしょう。

 森浦、塹江、大道、栗林はものすごく信頼できるリリーフ陣ですが、1点差ゲームに毎試合出場していたらスタミナが持たず、どこかで機能不全が起きるはずです。彼らを休ませる意味でも、11日の敗戦は大きな意味を持ったといえます。

 またこの試合は5回時点で7点差がついてしまい、ほとんど決着がついていました。三連覇時代のカープでも、この点差をひっくり返すのは厳しいでしょう。もちろん選手たちは諦めずに戦っていたとは思いますが、ほとんど負けが確定した場面で敗戦処理投手が試合を消化したメリットは大きいのです。

 敗戦処理というとネガティブなイメージを持たれる人もいるかもしれませんが、彼らにとってもチャンスだと考えます。特に若手投手にとっては、点差を気にせず自分のピッチングをのびのびとアピールできる舞台なのです。

 4番手で登板した藤井投手は、この試合がプロ初登板となりました。1軍のマウンドで巨人打線に投げる経験は、藤井投手の野球人生にとって大きな価値があるものです。

 敗戦処理といわれている選手たちも、いずれは試合の行方を左右する場面で投げることを目指して、自分の持ち味を生かしたピッチングをしてほしいです。コルニエルやケムナは、十分勝ちパターンの一角を担えるポテンシャルがあると思います。

 

 逆に致命的な負け方は、1点差ゲームでの敗戦と7回以降の逆転負けです。

 僅差のゲームではほとんどの場合勝ちパターンの投手を使います。緊迫する場面でリリーフ陣を使い結果として負けてしまうのは精神的にも肉体的にも疲労が残ります。

 また7回以降の逆転負けは、勝ちパターンのリリーフ陣が機能しなかったということです。6回を終えた時点でリードしていた試合を落とすのは、選手たちのモチベーション低下にもつながりかねません。

 

 致命的な負けを防ぐには、リリーフ陣の強化が必須です。現状勝ちパターン投手は抜群の安定感を見せていますが、若い選手が多いことに一抹の不安を感じます。三連覇を経験した一岡、中崎、フランスアのうち誰か一人でも戻ってきてほしいものです。仮に三人とも万全な状態で戻ってきて、新外国人のネヴァラスカス、バード両投手が1イニングを計算できる投手になれば、敗戦処理投手の見当たらない鉄壁なリリーフ陣となります。(4回くらいから勝ちパターンの継投ができるのかもしれません)

 

 もちろんどのチームも毎試合勝利を目指して戦っているとは思いますが、現実問題として50試合は負けます。その敗戦をいかに有意義なものにできるかがシーズンを戦い抜くうえで大切になってくるのです。

 3連戦で2勝1敗を続ければ、単純計算で勝率6割6分7厘となります。この勝率を記録すれば、ほぼ確実に優勝できるでしょう。

 目の前の試合にこだわるのではなく、長い目で見て勝ち越すことを目指し、最終的にリーグ優勝させるのが監督の仕事なのです。