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【広島カープ】盗塁数だけでは測れない、本当の意味での積極走塁とは?

 今シーズン、広島カープのヘッドコーチには河田雄祐氏が就任しました。河田コーチは積極走塁をかかげ、春季キャンプから熱心に指導してきました。

 しかし、開幕から13試合が経過して盗塁成功数はわずか3。これはDeNAと並んで12球団で最も少ない数字であります。

 この数字だけ見ると、積極走塁が実現していないようにも思えます。だが、広島が目指す積極走塁はむやみに盗塁をするだけではありません。河田コーチが選手たちに意識させているのは、隙あらば一つ先の塁を狙う走塁なのです。

 

 

 4月7日のヤクルト戦で印象的なシーンがありました。

 2死1、2塁広島1点リードで打者は曾澤。この場面で2塁ランナーの鈴木誠也は三盗をしかけた。意表を突かれた捕手の中村悠平が送球をそらすと、誠也は迷わず本塁を狙った。結果的には本塁でアウトになったが、常に先の塁を狙うという意識があってこその走塁だろう。こうした走塁は数字には表れません。

 また、9日の巨人戦でも素晴らしい走塁が見られました。

 広島2点リードの6回、先頭の安部がヒットで出塁すると代走に曽根が送られる。

 曽根は常に走るそぶりを見せ、相手捕手を動揺させる。1塁走者を意識する菅野と炭谷(銀仁郎)のバッテリーは、西川に対して直球主体の窮屈な配球を迫られる。結果的にはレフトフライに倒れるが、配球の幅を狭めることに成功しました。

 このように、盗塁することだけが積極的走塁ではありません。バッテリーの意識を打者に集中させないことも、ランナーに与えられた役目なのです。

 また盗塁しない方がよい場面もあります。ランナー1塁で誠也や曾澤と当たった場合、盗塁してしまうと1塁が空いてしまい、状況にもよるが1塁に歩かせる選択肢も生じてしまう。ヒットが出れば1、3塁とチャンスを広げられる場面で、当たっているバッターが四球覚悟の勝負になってしまうのは非常にもったいないことである。

 走らないことで本来の投球を制限することも、積極走塁の1種だと考えます。

 もちろん、闇雲に先の塁を狙って走ればいいわけでもない。2点差を追う9回の攻撃など、複数の得点が必要な場面で先頭のランナーがリスクを冒す必要はあまり感じられません。

 少し前の話にはなりますが、走塁にまつわる珍プレーを思い出し頼んで書きます。

 同点で迎えた9回裏1アウト満塁でセンターフライが打ちあげられた場面。なんと2塁ランナーはタッチアップを敢行したのだ!!

 ここまで書けば、察しの良い読者諸君には誰のことだかお分かりだろう。阪神時代の新井貴浩選手のことである(笑)。もちろん、1点取れば試合終了の場面でタッチアップする必要性は全くない。ただの暴走である。

 場面に応じた適切な走塁をするうえで、スコアやアウトカウントを頭に入れておく必要があります。判断に迷いやすい場面では、監督やランナーコーチがしっかりサインを出して、塁上の走者と打席の打者が意思を共有しておくことが大切です。

 

 広島カープの盗塁数は少ないですが、結果的に試合に勝てているのですから問題はありません。先の塁を狙う姿勢は相手チームの脅威にもなりますから、多少失敗しても無駄にはならないでしょう。この先、カープの各選手が本当に意味での積極走塁を見せてくれることを期待しています。