多趣味な社会人のブログ

プロ野球、自転車レース、競馬、財テク、政治経済、教育問題など様々な記事を発信しています。

病院の待ち時間について

 先日、ホリエモンこと堀江貴文さんがツイッター上で、「病院に予約して行ったのに待たせすぎ」という発言をつぶやき、賛否が巻き起こりました。たしかに、日本の病院は患者を待たせすぎだと思いますし、金持ちだからって威張るなという意見も分からなくはありません。

 しかし、この問題の本質は、予約したにも関わらず待たされたという点にあると思います。例えば、予約したレストランに時間通りに行ったにも関わらず、30分待たされたらどうするでしょうか。おそらく、そんな店二度と行かないでしょう。しかし、病院はレストランと違って公共サービスを提供している場所です。別の病院に行くという選択肢もありますが、おそらくどの病院に行ってもそれなりに待たされることでしょう。なぜなら、日本の医療サービスはすべての国民が平等に受けられる仕組みになっているからです。国民皆保険制度があるおかげで、基本的な診療に関しては3割の自己負担で受けられます。加えて、収入の少ない高齢者は2割か1割の自己負担で受けられ、生活保護受給者は無料で医療サービスを受けることができます。

 ここで、アメリカの医療制度を見てみましょう。アメリカにも保険制度はありますが、65歳以上の高齢者や老人などを対象にしたもので、該当しない人は民間の保険に加入するしかありません。しかし、民間の保険は費用が高額なため国民の約15%が無保険状態であるといわれています。加えて、保険に入っていたとしてもそれなりの医療費がかかります。一例をあげると、盲腸で1週間入院すると7万ドル(約770万円)かかります。なぜ医療費が高額になるかというと、アメリカでは病院側が医療費を自由に設定できるからです。医療費が高額なため、保険会社が設定する保険料も高額になります。これらの理由から、軽い病気程度では病院に行くのをためらう人が多いため、アメリカの病院はそこまで混雑していません。アメリカでは、高額な医療費を払える金持ちだけが充実した医療サービスが受けられるのです。

 日本とアメリカの医療サービスの違いをまとめると、日本では国民皆保険制度が導入されていることに加え医療費自体も低額なので、誰でも病院に通えます。しかし、その裏返しとして、病院で何時間も待たされてしまうのです。もし高額な医療費を取る病院があれば、金持ちだけしか来ないので待たされずに済むと思いますが、日本の医療費決定には国が介入しているため、病院の判断で勝手に医療費を高額にすることはできません。そのため、庶民も金持ちも同じ条件で待たなくてはならないのです。一方、アメリカでは公的保険制度が十分でなく医療費も高額なので、医療費を払う余裕のある人しか病院に行きません。したがって、アメリカの医療制度では金持ちが優遇されているわけです。

 誤解されないように言っておきますが、日本とアメリカどちらが正しいかという問題ではありません。平等を掲げる日本と自由を謳うアメリカでは政策が違って当然です。誰でも低額な医療を受けたい人は日本の医療制度を利用すればいいですし、高いお金を払ってでも待たされず快適に医療を受けたい人はアメリカに行けばいいのです。堀江さんはアメリカで生活するほどのお金を持っているはずなので、日本の病院に目くじらを立てるくらいならアメリカで医療を受けるべきでしょう。