【プロ野球】延長戦廃止で采配はどう変わる?
新型コロナウイルスの影響で、今シーズンのプロ野球は延長戦が廃止され、引き分けでも9回で打ち切りとなりました。
似たような事例としては、東日本大震災の節電対策として制定された2011年シーズンの3時間半ルールがあります。延長戦に突入した場合、3時間半を過ぎてから新しいイニングには入らないという規定です。
実際、2011年シーズンの引き分け数は両リーグ合わせて56試合と前年の16試合と比較して大幅に増加しました。1チーム平均9.3試合も引き分けのゲームがあります。1番引き分けが多かったヤクルトは15試合も引き分けており、全144試合のうち約10.5%が決着つかずで終わったことになります。
もちろん、東日本大震災というやむを得ない事情ではありましたが、引き分けが多く決着がつかないのでは熱狂も半減してしまいます。
2011年シーズンでは、試合時間を気にしながら引き分けを目指す光景を何度も目にしました。積極的に勝ちを目指さず、時間を使って引き分けに持ち込む戦い方に興ざめしたファンも多いと思います。
2011年シーズンとは違い、今季は時間にかかわらず9イニングまでと決まっているため、以下のような現象が起こると考えます。
- 代打、代走のタイミングが早まる
- 継投のタイミングが早まる
1.の代打、代走に関しては、9回までに決着をつけなくてはいけないため、早いイニングから勝負に出ることが考えられます。開幕カードでも、早いイニングから投手に代打を出したり、クリーンナップに代走したりというシーンが見受けられました。
2.の継投に関しては、2011年シーズンよりも顕著に継投が早まると考えられます。3時間半ルールの時は経過時間を確認しながらの継投となりましたが、今シーズンのレギュレーションでは絶対に9回で終わるため、延長戦を気にせず勝ちパターンの投手をつぎ込めます。セリーグでは投手に代打が出るタイミングも早まるため、より一層この傾向が強まるでしょう。
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上記を総合すると、選手交代のタイミングが投手野手共に早まるため、選手層の厚いチームが有利に試合を運べると思います。また接戦の場合、勝ちパターンの投手が今まで以上に起用されやすくなると思うので、いわゆる「勝利の方程式」を担う投手の負担が増えるのではないでしょうか。
2011年シーズンに見られた引き分け狙いの戦いではなく、早いイニングから積極的に勝ちを狙う采配がみられると思います。
また選手の起用が増えるということは、若手が活躍する機会も増えるということです。広島ー中日の開幕3連戦では、栗林、森浦、矢野、といった2020年ドラフトのメンバーが3名も出場しました。加えて2019ドラフト5位の石原選手も初出場で9回のマスクをかぶるなど、フレッシュなメンバーの活躍も目立ちました。
まとめ
- 延長戦はなく9回までと決まっているため、早いイニングからの仕掛けが増え、選手交代が活発になる。
- ベンチワークが重要になり、選手層の厚いチームが有利に試合を進められる。
- 若手選手の活躍が増える
昨日の広島-中日戦では、9回で決着がつかず0-0の引き分けになりました。
ただ采配としては、6回に松山に代走、6回81球無失点の野村をルーキー森浦にスイッチ、最終的に残った野手はメヒアのみと、内容の濃い采配となりました。投手リレーも、前日好投した森浦、栗林の若手コンビを起用して、1点も許さない試合運びとなりました。
今後9回までのルールをどのように戦っていくか、各チームの采配に注目です。