【私が自転車競技を愛する理由】 6.スポンサー
ロードレース大会に出場するためには、宿泊費や人件費、機材費など多額のお金が必要です。1年間ワールドチームを運営するためにかかる費用は、10億円以上と言われてています。それらすべてをレースの賞金で賄えるわけではないので、資金を提供してくれるスポンサーの存在は欠かせません。
しかし、ロードレースのスポンサーになりたいという企業は多くありません。なぜなら、ロードレースは沿道で観戦できるため、ほとんどチケット収入を得ることができないからです。したがって、スポンサーの主な目的はブランドをアピールすることといえますが、数億円の投資に見合う効果が得られるのかは疑問であり、チームの成績が振るわないと宣伝効果が少なくなってしまいます。
ロードレースのスポンサーは頻繁に撤退しています。スプリンタチームとして名を馳せている「ドゥクーニンク・クイックステップ」ですが、2014年シーズンは「オメガファーマ・クイックステップ」というチーム名でした。それが「エティックス・クイックステップ」、「クイックステップ・フロアーズ」という名称を経て、現在の「ドゥクーニンク・クイックステップ」に繋がっているというわけです。プロ野球でも、大洋ホエールズが横浜ベイスターズになり、横浜DeNAベイスターズへと変遷していったわけですが、プロ野球チームの名称が変わることは滅多にありません。クイックステップのように、ツールドフランスで活躍する強豪チームでさえもスポンサーが長くついてはくれないのです。
昨年衝撃的だったのは、ツールドフランス総合4連覇していたチームスカイのスポンサーが撤退してしまったことです。幸い、イギリス化学大手イネオスがスポンサーとなり、チームが解散することはなく、今年のツールでは若手の有望株ベルナルがマイヨジョーヌ(総合優勝ジャージ)を獲得しました。イネオス(旧スカイ)には、総合優勝を狙える選手が多数所属しています。イネオスは、プロ野球界に例えると巨人のようなチームです。その巨人が資金集めに奔走しているのですから、ロードレース界は大変な状況であると言えます。
ここまで芳しくないニュースをお伝えしてきましたが、ここで良いニュースを書くことにしましょう。カベンディッシュやボアッソンハーゲンが所属する「ディメンションデータ(南アフリカ)」ですが、来シーズンから「チームNTT」となります。これは、2010年にNTTがディメンションデータを買収し子会社化したことがきっかけとなっています。「NIPPOヴィーニファンティーニファイザネ」も日本企業のNIPPOがスポンサーをしていますが、格付けはワールドチームより低いプロコンチネンタルチームです。日本企業がワールドチームの単独スポンサーとなるのは、NTTが初めてです。チーム国籍は南アフリカのままになると思われますが、日本人選手が所属し、ツールに出場することも考えられます。
実は、今年のツールでもNTTのロゴが国際映像のテロップに出ていました。これは、オフィシャルテクノロジーパートナーとして、レースの情報を全世界に配信していたからです。Jスポーツの放送でも取り上げられていたように、日本人選手の出場だけでなく、日本企業がスポンサーとなって国際映像で取り上げられることも話題に上ります。そう考えると、日本企業のスポンサー進出はとてつもない宣伝効果があるのではないでしょうか。ロードレースを見る際、選手だけでなくスポンサーにも注目すると、より一層楽しめると思います。
次回は、環境問題への取り組みについて解説します。
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