多趣味な社会人のブログ

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【私が自転車競技を愛する理由】 4.TT(タイムトライアル)

 これまでに紹介した平坦コースと山岳コースは、全チーム一斉にスタートします。しかし、TT(タイムトライアル)では一斉にスタートしません。TTには、時間を空けて一人ずつスタートする個人TTと、チームごとにスタートするチームTTがあります。

 個人TTは、数㎞から数十㎞の短い距離を1分ごとに間隔をあけて一人ずつ走り、タイムを競うステージです。普通のステージと違い、チームメイトや他チームの選手の後ろを走る行為(ドラフティング)が禁止されているため、選手一人ひとりの実力が如実に表れます。また、個人TTでは走る順番が重要になります。個人TTでは、前日までの総合タイムを基準に、チームの最高成績者の順位を順番に並べ、順位が低いチームから順位が高いチームに向かって一人ずつスタートしていきます。例えば、前日までのチーム最高成績者の順位が高い順に、A、B、~ G、Hとするならば、初めにHチームの一人目がスタートし、次にGチームの一人目、 ~ Aチームの一人目という順番で走り、その次にGチームの二人目が走り出します。これをチームの人数分繰り返し、すべての選手が走り終えるまで行います。

 個人TTの戦略として、エースをチーム内の最終走者にすることが挙げられます。これには、仲間の選手が先にコースを走り路面状況をエースに伝えることや、他チームの有力選手のタイムを見てから走れるといったメリットがあります。普通のステージでは同じ集団でゴールした選手は同タイム扱いとなりますが、TTでは同タイムになることが少ないので総合優勝を狙う選手の間にタイム差が生じやすくなります。TTステージが総合優勝争いを決定づけることも多いです。

 チームTTは、数十㎞の距離をチームで隊列を組んで走ります。個人TTと同じく、チームの最高成績者を順番に並べ、最下位のチームから5分間隔でスタートします。1チーム8人で走るツール・ド・フランスの場合、4番目の選手がゴールしたタイムが、チームの先頭集団のタイムとなります。これはどういうことかと言うと、集団でゴールした選手は4番目の選手のタイムとみなし、集団から遅れてゴールした選手は自身のタイムがそのまま適用されます。つまり、チームの集団は4人以上残してゴールしなくてはならないということです。なので、アクシデントに見舞われた選手を置いて行ったり、戦略的に遅い選手を千切ったりして、最終的に4人か5人でフィニッシュするチームがほとんどです。しかし、最低4人はゴールしなくてはいけないので、TTが苦手な選手を早めに切り離してしまうと、後々トラブルに見舞われたときに困ることになります。メンバーを切り離して集団のペースアップをするタイミングも重要だといえます。

 また、チームでまとまって走るチームTTでは、メンバー同士の連携が重要になります。チームTTの強いチームでは、きれいな隊列を組んで空気抵抗を減らして走ります。美しい隊形で走り去る小集団は、芸術的でさえあります。暫定首位のチームと何秒離れているか無線で確認しながら走るため、後半に走るチームの方がペース配分を調整するため有利であるといえます。

 次回は、ダブルエース、トリプルエース体制について紹介します。