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「天空の蜂」に見る東野圭吾のすごさ

 

 少し前の話になりますが、東野圭吾原作の「天空の蜂」が映画化されました。「マスカレード・ホテル」や「容疑者xの献身」など数多くの東野圭吾作品が映画化されていますし、福山雅治主演でドラマ化された「探偵ガリレオ」シリーズも、原作は東野圭吾です。本を出せば映像化される東野圭吾において、映画化されるのは珍しい話ではありませんが、「天空の蜂」だけは話が違います。「天空の蜂」は文庫版で632ページを超える長編のであることに加え、原子力発電に関係する専門用語満載で、素人には非常に理解しづらい内容です。また、この作品の初版本が出版されたのは1995年のことですが、東野さんはすでに有名になっていたにも関わらずこの作品はあまり話題になりませんでした。

2011年3月、東日本大震災による原発事故が発生しました。この事故をきっかけに、人々が原発の恐ろしさを認識し、原発安全神話は崩壊しました。東野さんは原発の危険性を題材にした作品を1995年時点で発表していたのですから、すごいとしか言いようがありません。

私は、この作品を震災が発生する少し前に読んでいました。その時の感想は、長いうえに専門用語が多く東野作品の中では面白くない、という安直なものでした。震災の後になって、ようやく作品の本当の意味が理解できた気がします。

話題の最新作だけでなく、20年前の作品までもが再評価される東野作品は、まさに芸術と言っても過言ではないでしょう。