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「卒業」じゃなくて「引退」だろ!

 11月16日、欅坂46志田愛佳さんが卒業を発表しました。最近、有名アイドルグループ主力メンバーの卒業発表が相次いでいます。その理由は、数年前のアイドルブームで活躍したメンバーが旬を過ぎて、人気に陰りがみえてきたことが主な要因だと思われます。アイドル業界における新陳代謝のスピードは年々加速しており、良いポジションをキープするのが難しくなっています。

 そんな中、卒業発表のニュースを聞くたびに違和感を感じます。そもそも、卒業とは何を意味するのでしょうか?ここでは、「今日からアイドル活動をやめます」という区切りのようなものと考えて、話を進めていきます。そもそも、なぜ卒業宣言をする必要があるのでしょうか?卒業宣言をする理由として、2つのパターンが挙げられます。

 1つ目は、「これから女優やモデルに転向します」宣言をしたいパターンです。特に、これからのキャリアに不安を抱いている人が「今後も表舞台で活動しますよ」とマスコミにアピールしたいという思惑が見え隠れしているように思います。人気が薄れてきたため、グループの看板がないとろくに活動できないのでしょう。

 2つ目は、最後にもうひと稼ぎすることを狙っているパターンです。卒業記念ライブを開催したり、グッズを販売したりすることによって利益をあげようとしています。はたから見るとあさましい行為ですが、大人数グループに所属して低いギャラで働いているアイドル達からしたら、まさにアイドル生命をかけた営業活動といったところでしょうか。

 そんなアイドルたちに「卒業ではなく引退という言葉を使いなさい」と言いたいです。そもそも、アイドルグループを脱退して女優やモデルとして成功している元アイドルは、いったいどの程度存在するでしょうか?現実には、ほとんどいないと思います。おニャン子クラブを例にとってみれば分かりますが、卒業後も一線で活躍できたのは、国生さゆり新田恵利ぐらいでしょう。人気が落ちてきたのは自分でも気づいていると思います。それならば、卒業という言葉は使わずに、引退と言った方が潔い引き際になると思います。

 ビジネスパーソンが卒業生と聞いて思い浮かべるのは、世界的なコンサルティングファームマッキンゼーの卒業生でしょう。マッキンゼーの平均在籍年数は3~5年といわれており、退職した元社員のことを卒業生と呼びます。マッキンゼーの卒業生は、一流企業の幹部を務めたり起業したり、はたまた政治に関わったりと政財界に大きな影響を与えています。卒業生たちの活躍もあり、マッキンゼーの卒業生という肩書は大変価値のあるブランドになっています。マッキンゼーを卒業したと聞けば、とんでもない能力を持った人なんだろう、と思います。しかし、アイドルグループを卒業しましたと言われても、へえそうなんだとしか思いません。

 今までの引退シーンの中で一番印象に残った場面といえば、何と言っても山口百恵の引退コンサートでしょう。「プレイバックPart2」や「いい日旅立ち」がヒットし、人気が急上昇しているタイミングでの引退発表は、まさに衝撃的でした。日本武道館でのライブでは、チケットを勝ち取った者のみが山口百恵最後の生歌に酔いしれた。アンコールの曲を歌い終えると、マイクを両手で握り、静かにステージの上に置いた。その瞬間、山口百恵は伝説のアイドルになった

 このように、人気絶頂のタイミングで引退というのは、理想のかたちでアイドルを終えるということです。人気がある程度下降してから、卒業という形でグループを脱退する姿は、どうしても見苦しさを感じてしまいます。賞味期限の短いアイドルが、引き際を見極めるのは簡単なことではないのかもしれません。