不正入学について
先日、東京医科大学の裏口入学の問題がニュースになりました。簡単に説明すると、文科省の役人が東京医科大に便宜を図り、見返りとして息子を同大学に入学させたという事件です。この大学に入学するために真剣に受験勉強をしてきた生徒さん達のことを考えると、裏口入学は本当に許せない行為だと思います。20年ほど前には、なべやかんの替え玉受験が話題になりました。受験に関する不正行為は、いつの時代にも話題に上ります。
ここで、視点を変えてみましょう。なぜ、不正行為をしてまで入学したいのでしょうか。より良い企業に就職したいから、世間の体面が気になるから、医師になりたいからなど、いくつかそれらしい理由は上げられると思います。しかし、大学では必要な単位を取得しないと進級、卒業はできません。一般に、偏差値の高い大学ほど単位の取得は困難なはずです。不正行為をして実力以上の大学に入学してしまったら、今度は、単位の取得が危ぶまれるのではないでしょうか。まさか、単位を取るために再び不正に手を染めるのか。いや、ほとんどの不正入学者は、楽に単位を取れる授業いわゆる「楽単」な科目を探して、受講することでしょう。単位を取るために大学に来ているようでは、主客転倒です。限られた人生の中の4年間を無駄にすることになります。そもそも、偏差値の高い大学に入りたいと思ったのは、自分の意思でしょうか。おそらく、親や高校の先生、塾の先生などに、少しでも偏差値の高い大学に進めと言われたのでしょう。中には、そういった周りの情報に反発する人もいるでしょうが、多くの生徒は疑問をもたず、当たり前のように偏差値の高い大学に進むべきだと考えます。大手塾の模試などで、偏差値に一喜一憂する生徒は、周りの情報に洗脳されています。一度、自分の頭で本当にやりたいことを考えてみてください。
大学受験が人生のすべてではありません。偏差値の出る模試は、ゲーム感覚で受ければよいのです。不正行為をしてまで偏差値の高い大学に入学しても、卒業するまで苦労するだけです。替え玉受験やカンニングは誰も得しないので、絶対にしてはいけません。